日本語という参入障壁

セカンドライフの世界人口は2007年3月末で500万人を突破した。
さらに、これから日本版が登場することによって、軽く100万人くらいが一気に参加しそうなくらい「日本語化」ということが日本人には重要視されている。

現在セカンドライフで起きていることの、ほとんどは英語を経由しておこなわれているが、日本語という言語がセカンドライフに登場することによって、現在のセカンドライフの生態系に異変が起きそうである。
すでに日本人居住区では日本語による会話がなされ、海外からも日本人居住区にわざわざ観光にやってくるという世界観が形成されているが、チャットの言葉は理解できないというシーンになりはじめている。日本語化されれば参加したいと考えている人たちが参加することによって、セカンドライフ内での日本語化は加速されるだろう。
しかし、それによって、見えなくなったり、行かなくなったりする外国が増えることに最近は少し懸念している。

インターネットは、もしかすると、言語によって、ますます世界をローカル化していくのかもしれない。

すでに世界のブログの33%は日本語
http://www.edelman.jp/img/ideas/gbg_j.pdf
ということで、圧倒的に量的には他の言語を圧倒しているそうだ。ちなみに主流の英語でさえ39%、中国語でも10%だ。この数字が物語ることは日本語のブログの量が圧倒的に多いということだろう。しかし、読めることのできる人数は最大でも1憶3000万人という母数は変わらない。ページビューのランキングから考えるとすごい量的なシェアとなる。日本語全体のページビューはきわめて低いからだ。

amazon参加の調査会社のAlexa.comのGlobal Top500とトラフィック調査では、
http://www.alexa.com/site/ds/top_sites?ts_mode=global&lang=none

1.htttp://www.yahoo.com(英語)
2.htttp://www.msn.com(英語)
3.htttp://www.google.com (英語)
4.htttp://www.youtube.com(英語)
5.htttp://www.myspace.com(英語)
6.htttp://www.live.com(英語)
7.http://www.baidu.com(中国語)
8.http://www.orkut.com(英語)
9.http://www.qq.com(中国語)
10.http://www.wikipedia.org(英語)
となっている。

日本語のサイトは、ようやく11位にyahoo.co.jp、33位にgoogle.co.jp 53位にmixi.jp 61位にFC2、75位にrakuten.co.jp 89位にlivedoor.com と100位までに、たったの6サイトしかエントリーされていない。ちなみに、中国語のサイトは、7位baidu.com 9位qq.com 12位sina.com 19位sofu.com 21位163.com 24位yahoo.com.cn と上位にランキングされている。

日本語サイトへの世界的なマス的トラフィックは少ないまでも、ユーザー参加型のサイトは非常に多く、しかも大量に存在している。まさにロングテールの果てしなく長いテール部分のようなパートに存在していることが想像できそうだ。

ユーザー参加型コンテンツである10位のWikipediaを軸にして言語を調べると、現在128ヶ国語の言語によって運営されている。1位はいうまでもなく英語であるが、たったの30%でしか占めていない。まさに英語という言語は、ロングテールのヘッドの部分そのものであり、たったの3割のシェアで世界を圧倒しているかのような印象を受ける。日本語はかつては第3位の登録言語の多い言語であったが、現在は5位になっている。フランス語とポーランド語に抜かれてしまった。
それでも、インターネット上における言語のシェアとしては極東にある「日本語」に影響力があることはまちがいない。

ただ、問題は、他の言語とくらべて翻訳しにくいという点である。その点では、アラビア語や中国語と変わらないところだろう。アルファベットを使うヨーロッパ圏での言語は、見た目も似ているだろうし、比較的、英語からの自動翻訳精度も高く、なんとなくわかる言語に翻訳できる。しかしながら、英語と日本語の自動翻訳はお世辞にも10数年前と何ら変わっていないようである。日本語の全く読めない国の人にとっては自動翻訳でも漢字が並んでいるよりも、アルファベットになっただけでも、ユーザビリティー的には「敵対的」にはならないだろう。

これだけ多数の日本語がインターネットのパケットを流れているにもかかわらず、世界の人々から、自ら興味をもたれないことを選択してしまうのが残念なのである。

かつて、SNSの老舗であるOrkutが登場した時には、日本語化に大いに期待されていたが、greeやmixiの登場によってあっという間に日本人のOrkut熱は冷めてしまった。さらにOrkutが爆発的に普及したのはポルトガル語であり、英語とポルトガル語のSNSとして定着している。

英語以外の言語が普及した場合、その言語圏以外の国民の関心が無くなってしまうという怖さを秘めていると感じている。同じ言語で同じ文化でコミュニケーションをするのはとても便利である。しかし、せっかく、フラットな状況で世界がコミュニケーションできるツールを持ち得ているにもかかわらず、同民族言語だけによるコミュニケーションになってしまうのがボクは残念でならない。

世界の言語の3割を占めている日本語ブログを理解できる人は、世界には少なすぎる。反対に考えれば、日本語をうまく、世界(英語)に伝えることができる自動翻訳のサービスさえあれば、自分のブログを登録して世界向けにパブリックにしたいと思う人は少なくないだろう。

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