アメリカの大統領選挙の前哨戦が始まった!とニュースでよくいわれるが、いまいち日本人にとってはわかりにくい。
単に投票するだけでなく、各党の代表を選んでから、そこでまた選挙人の投票というスタイルが、すごくわかりにくい。しかし、実は単純で日本の野球にそっくりなのだ。野球のセ・パでわけると親近感がわいてくるのでは…?
アメリカ大統領選挙は、プロ野球だと思えばいいと思う(すいません、野球はあまり詳しくありませんが…)。
日本のように国会議員が多数党の総裁や党首がそのまま総理大臣になるわけではなく、あくまでも選挙権を持つ人、党員らの投票によって、党代表が決まり、大統領本戦では、ポイントのたまった代理人(選ばれた選挙人の投票)によって大統領は決められる。
間接的ではあれど、大統領を直接応援して決めるようなファン投票的感覚になっているからこそ、まるでひいきのチームを優勝させるようなお祭り気分で盛り上がっているように感じる。しかもゲーム全体は約11ヶ月にもわたって楽しめる。候補者は大変だが…。
毎年開催されるフットボールやバスケットではなく、4年に一度の大イベントでもあるから、さらに盛り上がる(サッカーのワールドカップはアメリカでは人気がないのでオリンピックと同じ)。そして、オリンピックと同じ年の開催でもある。
セリーグ、パリーグのペナントレース優勝を決めるのようなものが、毎年3月前半の(火曜日)の「スーパーチューズデー」である。しかし今年は、なぜか大人の諸般の事情(?)で2008年2月5日(火曜日)というナント!一ヶ月も早い強行スケジュールで20以上の州で同時巡業されることとなったから!さぁ大変!もうこの時点で一ヶ月を切ってしまっているのだ!
これから毎日各州で、誰を大統領にするのかを連日、報道される。
日本の「衆参同日選挙」をマスメディアが一ヶ月にわたり、大特集しているような規模だ。
今回は、大統領候補のガチンコ対決候補が一ヶ月も早くなったので、がぜん力がはいっていることだろう。もちろん、セパの優勝チーム同士の対決、「日本シリーズ」も盛り上がることにちがいないが、日本の敗者復活戦のような「クライマックスシリーズ」がないからペナント開幕戦から熱狂的になっている。しかも地方都市から始まるので、地方の都市にも政治応援団が駆けつける。
米国大統領は2期以上(1期4年)連続優勝できないルールなので、パリーグのディフェンディングチャンピオンのジョージ・ブッシュ大統領は今期限り。選挙戦がはじまると一気に閑職になってしまうようだ(個人的にはセリーグが8年前に勝っていたら、911の事件も起きなかったのかもしれない)。
開幕戦は、1月3日、セリーグ「民主党(Democratic Party)象さんチーム」とパリーグ「共和党(Republican Party)ロバさんチーム」、ともに、アイオワ州で開始された。
結果は、
セリーグ「民主党」の順位は、
バラク・オバマ(黒人男性初大統領?)38%
ジョン・エドワーズ元上院議員30%
ヒラリー・クリントン上院議員(女性初、madamプレジデント?)29%
リチャードソン・ニューメキシコ州知事2%
パリーグ「共和党」の順位は、
マイク・ハッカビー前アーカンソー州知事34%
ミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事25%
フレッド・トンプソン元上院議員13%
ジョン・マケイン上院議員13%
ルドルフ・ジュリアーニ前ニューヨーク市長6%
であった。
ただ、これはコーカスと呼ばれる各政党党員(球界関係者のようなもの)による選挙での結果(党員といっても、自己申告)なので一般という見方では、次の2008年1月8日(水)ニューハンプシャーの一般選挙(プライマリー)に話題が集まる。
この順位がニューハンプシャーでどうなるのかに期待が集まる。なぜならば、ニューハンプシャーは、初のプライマリー( Primary Election)選挙と呼ばれる州の人たちが政党代表を直接選ぶ選挙権があるからだ。つまり大統領になるべき党代表を選べるのだ。
だから、ニューハンプシャーには、全米から政治ファン(?)が集まって、各候補の良さをアピールする。なぜならば、ここでの結果の影響を受ける人が他の州には必ずいるからだ。政治サポータだが、敵対するとフーリガンなるのかもしれない(笑)。当然、マスメディアも集中するのでここでの戦いに力が入る。
2008年2月5日(火曜日)まで、各州でゲームが開催され、予備選挙でのペナントレース勝者が決まる。今年は会期が短いためテラ豚丼クラス(意味不明!)の「メガチューズデー」となる予想がなされている。
その結果をもとに党大会が開催される
ま、優勝祝賀会のビールかけ(はありません)、日本シリーズを目指しての決起集会という感じに近いかも!
セリーグ 民主党 象さんチーム(象がシンボル)
2008年8月25日~28日 2008年民主党党大会(コロラド州デンバー)
パリーグ 共和党
2008年9月1日~4日 2008年共和党党大会(ミネソタ州セントポール)
そして、今年は、2008年11月4日(火曜日)「エレクションデー」と呼ばれる(選挙人選挙)というセ・パの優勝チームで戦う日本シリーズで、日本一!が決まる、いや、米国一の大統領を決める選挙が開催される。
しかし、この日本シリーズで優勝の権利を「選挙人」が決めるシステムになっているのがへんなところだ。ここで自分の州で応援している大統領候補を応援している「選挙人」を選びだし、その州の中でのトップ当選の選挙人がすべての選挙人の票をゲットできるというなんだかギャンブル性の高いものとなっている。まるでオセロ並べみたいだ。
大統領は、各州(50州)での上院議員数(参議院みたいなものだけで100人しかいません)と同数100人と下院議員数(衆議院みたいなもの)同数435人+特別な市であるワシントンD.Cの3名分の合計538名分の選挙人の票数で決まる。過半数は270票なので、選挙人270票以上を獲得すると、晴れて米国大統領となるのである。
この日本シリーズの投票は、大統領選挙というよりも、「クイズダービー」のはらたいらさんに200点!というように、勝てそうな選挙人に投票しないと意味がないから、さらにゲーム性が増しているようだ。
その州の一番強い選挙人の票が、他の選挙人の票も総取りだから、各州ごとの票数の結果がポイントとして集まり大統領を選出する。
全米のメディアがこの4年に一度のお祭りをさらに盛り上げるから、アメリカでは子供でも誰を大統領にすべきかという議論ができるようになる。また、政治の世界を、誰に投票しても同じではなく、芸能界やスポーツ界並みに身近に感じているようである。本当は、税金問題など、自分は気にしていなくても、納税という形で収入の3割近くは、政府にピンハネされているのだから気にしないと本当は大損なのである。
日本では、ブログでも宗教や政治の話をする人は、どことなく、凝り固まっていてやだなぁと思うけど、また、自分もそう思われるのがいやで、触らぬ神にたたりなし的な気分になってしまうが、民主的な意見を表現できる手段として、このような祭りとして参加するのは意外に楽しい。
「日本人が選ぶアメリカ大統領予備選挙」を、2000年にネットでやったら、ブッシュよりもゴアが圧倒的だった。しかし、プログラムの不備で二重投票できるなどのバグが見つかり、ゴアチームに貢献できなかった。しかし、本戦でさらにすごい本物のバグがフロリダで、登場した時は本当にびっくりだった(笑)。
実際に2000年にブッシュは一般投票では敗北したが、選挙人選挙で復活当選したほどだ。
ほぼ、2分の1の政党の確率で大統領が競われるが、マイナー候補としての政党もあるので、こちらにも目を向けると意外にユニークな政策をかかげていたりする。
ともかく、サブプライム問題や経済的な不安を抱えながらも、ブラジルがワールドカップ開催時期に、ほとんど問題がないのと同じで、アメリカも11月までは、余計なことに首を突っ込む余裕がどこにもなさそうだ。
少しでもアメリカの選挙の構造を理解して楽しんでいただければ、幸いである。