メルカリで『領収書』の発行は義務なのか?

メルカリの売買で、『領収書』を発行してほしい…といわれ、少し気になった。

 

メルカリで発送する段階では、メルカリの手数料はわかるが、送料は推測でしか判断ができない。

 

実際の『販売利益』は、『販売価格』から『メルカリの販売手数料』と送料を負担している場合には『送料』を引いた金額が、メルカリから、入金される。しかも、その入金はあくまでも、銀行への出金申請しない限り、メルカリで再利用できるサービス内ポイントである。

 

あくまでも販売しているのは、プラットフォーマーである『メルカリ』が『エスクロー』のサービスとして、買い手から販売価格を預かり、手数料と送料などを計算し、売り手に振り込むというケースだ。なので、売り手が入金される『価値』はあくまでも、買い手が購入した金額ではない。

 

個人企業で経費精算のために『領収書』が必要なのは理解できるが、それであれば、メルカリ側に手数料を払って発行してもらう仕組みがあったほうが便利ではないだろうか?

 

実際に入金されている金額は、メルカリ側が預かり入金しているからだ。

預り金を証明する形での領収書ならば、買い手が必要な金額となるだろう。

また、入金した人もクレジットカードなどでの明細があったり、メルカリ上での『価値』で購入したものなので領収書が得られと変な事になる。

もしも、売り手になった場合は、資産の売却や減価償却費用の計算も変わってくる。

 

 

売り手側が領収書を発行しようとすると6つの問題がある。

 

領収書の7つの必要要因 

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経営者が知っておきたい領収書の書き方と収入印紙のルール | ビジドラ~起業家の経営をサポート~

https://www.smbc-card.com/hojin/magazine/bizi-dora/accounting/receipt.jsp

 

メルカリ『領収書』発行の6つの問題点

上記の領収書をメルカリで販売しようとすると…。

1.買い手の本名の確認 あるいは買い手の社名の確認

2.手数料(送料など)をひかれた金額での領収ポイント金額

  ・メルカリ社側から受け取った金額が領収金額

  ・メルカリから支払われる金額は、現金でなくポイント

  ・月曜日にメルカリ経由で銀行へ出金申請し、その週に振り込まれてはじめて、現金売上が発生する。

 

3. ただし書き、商品代金?などの記載

 

4. 売り手の本名や企業名、住所の明記、社判や印鑑

 

5. 5万円以上から、200円の収入印紙が必要

 

6.  売上金額の発生日時が未定
・税務処理をする上で絶対に欠かせない項目の代金の受け渡しが行われた日付を記入できない不完全な領収書となる。

 

以上、6つの『領収書』に記載するポイントがあるので、領収書を発行するならばそれなりの手数料もらって発行するか…、メルカリに預り証を発行してもらうかということになるだろう。

 

領収書発行は義務なのか?

メルカリの対応を調べると…。

お問い合わせありがとうございます。
メルカリ事務局です。

このたびは、メルカリのご利用に際し、ご不快な思いをおかけし申し訳ございません。

領収書の発行は、各自のご判断にお任せしております。

現在メルカリでは領収書に関するルールはございませんので、発行が難しい場合はお断りいただいても問題ございません。

頂いたご意見につきましては真摯に受け止め、今後のサービス改善に努めてまいります。

今後も、お困りなことなどございましたらお気軽にお問い合わせください。

お客さまに素敵なご縁がございますことをお祈りしております。

よろしくお願いいたします。

メルカリ事務局

https://www.mercari.com/jp/box/qb07c3ad3e03b487e/

 

だったらしい。

 

そこで、メルカリの『利用規約』を調べると…。

6.支払手続

  1. (1)支払又は決済が本サービスに関して必要となる場合、本サービスのオンラインシステムを通じて行われるものとし、その詳細は本サービス中のガイドで定められるところに従うものとします。なお、本サービス利用に関し、ユーザーによって支払われた代金決済についての領収書等は発行されないものとします。また、支払いに必要な振込手数料その他の費用についてのユーザーの負担は、本サービス中のガイドで定められるところに従うものとします。
  2. 2018年9月27日改訂版より

https://www.mercari.com/jp/tos/

 

 

この利用規約によると、

(メルカリ)本サービス利用に関し、ユーザーによって支払われた代金決済についての領収書等は発行されないものとします。

 

とある。

なので、領収書を請求された場合は…

 

メルカリ利用規約 

第11条 支払及び取引の実行 6.支払手続 
(メルカリ)本サービス利用に関し、ユーザーによって支払われた代金決済についての領収書等は発行されないものとします。

https://www.mercari.com/jp/tos/

…とお断りするのが一番、問題なさそうです。

 

しかし、個人事業者で、経費精算利用したい人が当然いるので、領収書の変わりとなるなんらかの方法が、今後は必要となってくることだろう。

もちろん、税務調査が発生した場合、メルカリ側が売り主の個人情報を税務署に開示する趣旨の許可を得ておく必要もあるだろう。

いちばん、良いのが、メルカリ側で、領収書に必要な人や企業や団体に対して、領収書発行システムを構築することだ。

メルカリが、預り金を受け、その対価および換金可能なポイントを匿名の売り手に支払ったが、万一の時は売り手の情報を知る権利を持っているという証明書の発行だ。

当然、一律200円とかの手数料をとってよいかと思う。

 

万一、個人で勝手に適当な領収書を発行すると、ややこしい法的な私文書偽装なども、登場してくる。

 

領収書の法的根拠 民法第486条

第486条 弁済をした者は、弁済を受領した者に対して受取証書の交付を請求することができる。

https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC486%E6%9D%A1

 

『受取証書』は『領収書』と置き換えてもらってよいだろう。

そして、『領収書』の意味は…。

二重払いの危険を避け、または第三者弁済の場合の求償権や代位の行使を円滑にするため、弁済をしたことの証拠が必要

 

受取証書とは、弁済を受領した旨を記載した書面を指し、一般的には領収書やレシートなどが該当する。一部弁済の場合でも弁済した部分についての受取証書の交付を請求できる。また、判例では弁済と受取証書の交付は同時履行の関係にあるとされ、正当な理由なく受取証書の交付を拒否された場合、弁済の提供を拒否できる。

 

という用途のためだ。

 

メルカリで誰もが『領収書』を勝手に発行すると、基本はクレジットカード会社からの請求書と明細で、領収書相当の情報と重なり、二重払いをしたことを証明することになりかねない。

 

また、虚偽の『領収書』を発行した場合は…

領収証書は、弁済の事実を証明する文書なので「事実証明に関する文書」であり、領収証書には押印があるのが通常です。
よって、私人が発行した領収証書を改ざんする行為は、有印私文書変造罪(刑法第159条第2項)に該当します。

改ざんによって元の領収証書との同一性がない領収証書となった場合には、有印私文書偽造罪(刑法第159条第1項)が成立します。

但し、いずれの法定刑も3月以上5年以下の懲役です。

領収書の改ざんには、何らかの法的罰則が規程されているのでしょうか… – Yahoo!知恵袋

 

おやおや、物騒なハナシになってきました…。

 

刑法第159条(私文書偽造等)

  1. 行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、3月以上5年以下の懲役に処する。
  2. 他人が押印し又は署名した権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。
  3. 前二項に規定するもののほか、権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を偽造し、又は変造した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

    https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%91%E6%B3%95%E7%AC%AC159%E6%9D%A1

 

刑法第161条(偽造私文書等行使)

  1. 前2条の文書又は図画を行使した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、又は虚偽の記載をした者と同一の刑に処する。
  2. 前項の罪の未遂は、罰する。

https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%91%E6%B3%95%E7%AC%AC161%E6%9D%A1

フリマで販売してこんなややこしいことになるくらいなら、『領収書』や『請求書』の発行は控えておいたほうが現在のところは、良さそうだ。

当然、政府も税の取れるくらいの大きな市場になるまで、フリマ市場を黙認して、育てているので、もっと個人の領収書がバンバン発行されてから、ややこしくなるまでは猶予期間としてみるのもよさそうだ。

 

メルカリ側としての判断は、税務処理に関しても『個人の自由』がモットーだ。

 

そう、この領収書問題を言い出すと、個人の自由なんていうのんびりしたフリマ時代は一気に終焉し、マイナンバーやら、税務申告などと、さらにめんどうくさいことになってしまいそうである。