http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/312/013312_option1.pdf
ギブソンレスポール、フェンダー・ストラトキャスター
もう、このスタイルのギターは数百、いや数千とあるのかもしれない。
なぜ? こんなにもそっくりなコピー品が成立したのか…。
これだけでも、大特集ができそうなネタだ。
1960年の日本は中国以上のパクリ大国だった!
みよ、この 盗人猛々しいまでの、ロゴのパクリ。
中国と違ったのは、そっくりだけど、よく見ると違うというのが、日本流のパクリだ。
ロゴはそっくりだが、パクリではない。似せてきて、微妙に違う。
よく見たら違いが明確なところだ。
ボディスタイルも、少しだけ違う…というのが、偽物ではなく、
コピー品というわけだ。
何年も放置しておいたのは、このコピーの台頭が、結果として、本物のギブソンやフェンダーを憧れの存在にしてくれたからだ。
しかし、本物の事業が、偽物以上に傾きはじめた時、偽物の方が本物よりも品質がよくなってきたという評判がでてから、ようやく、対応に動き出した。
しかし、時はすでに遅かった…。
ギブソン社が、何やら急に、フェルナンデス社を訴訟したのだ。
結果は…
高級時計の フランクミュラー VS フランク三浦 と同じようなケースだ。
明らかに本物とは違うという結果だった。そしてすでに何十年放置対応していたことなどだ。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/312/013312_hanrei.pdf
不正競争防止での訴訟
2000年(平成12年)2月24日
関連事例
- 東京高判平12・2・24 判時1719号122頁 ギブソン・ギター事件
- [1] 事実の概要
X(ギブソン・ギター・コーポレーション=原告・控訴人)は,1894年の一職人の創業に由来する米国のエレクトリック・ギター,フォーク・ギター等の製造会社。Y(株式会社フェルナンデス=被告・被控訴人)は,1969年創業の日本の楽器メーカーである。
Xは,1952年にレスポール・モデルと称するエレクトリック・ギター(以下「X製品」という)を開発・設計,X製品は現在に至るまで(一時製造が中止された時期もあったが)エレクトリック・ギターの代表的モデルの一つとなる。他方Yは,設立されて間もない1970年代初めより現在に至るまで,“Burny” というブランドでX製品のコピー・モデルのエレクトリック・ギター(以下「Y製品」という)を製造・販売している。
Xは,Yに対し,主位的には不正競争防止法2条1項1号を根拠としてY製品の製造・販売等の差し止めと損害賠償を求め,予備的に不法行為(民法709条)を根拠に損害賠償を求めた。第一審(東京地裁)はXの請求を棄却,Xが控訴。
- [2] 判旨
控訴棄却。
Ⅰ X製品は、遅くとも昭和48年(1973年)ころには、我が国のロック音楽のファンの間で、エレクトリックギターにおける著名な名器としての地位を確立し、それとともに、X製品の形態も、Xの商品であることを示す表示として周知となったものと認められる〔が、認定〕事実の下では、このようにしていったん獲得されたX製品の形態の出所表示性は、遅くとも平成5年より前までには、事実経過により既に消滅したものというほかない。すなわち、X製品の形態が出所表示性を獲得した前後のころから、現在に至るまで20年以上にわたって、数にして多い時には10数社の国内楽器製造業者から30以上ものブランドで、類似形態の商品が市場に出回り続けてきたという事実がある以上(しかも、この事実に対し、平成5年(1993年)までの間は、Xによって何らの対抗措置を執られていないことは、X自身認めるところである。)、需要者にとって、商品形態を見ただけで当該商品の出所を識別することは不可能な状況にあり、したがって、需要者が商品形態により特定の出所を想起することもあり得ないものといわざるを得ないからである。
この点につき、Xは、我が国で製造販売されていたX製品の模倣品は、模倣品であることが明示されて流通に置かれていたのであり、模倣品を製造販売する業者は、自らが、その形態はXの商品のものであって、自社の商品表示ではないことを明らかにしているのであるから、これら模倣品が出回っていたことによってX製品の形態の有する出所表示機能が希釈され、X製品の形態が出所表示機能を失うことはあり得ない旨主張する〔が〕、需要者が、X製品の形態の商品の中には、X製品を模倣したものも多数あることを認識しているということは、需要者が、X製品の形態の商品の形態を見てXを含む複数の出所を想定することを意味するものであって、これは、とりもなおさず、X製品の形態自体は特定の出所を表示するものとして機能していないことを物語るものである。
Ⅱ 商品形態の模倣行為は、不正競争防止法による不正競争に該当しない場合でも、取引界における公正かつ自由な競争として許される範囲を著しく逸脱し、それによって被控訴人の法的利益を侵害する場合には、不法行為を構成するものというべきである〔ところ、事実〕認定のとおり、Yは、エレクトリックギターの著名な名器であるX製品の顧客吸引力に便乗して利益を挙げようとして、これに似せた精巧な模倣品であることを売り物としてY製品の製造、販売をしたものであり、……〔この〕模倣行為は、その当初の段階においては、不法行為の要件としての違法性を有するものとして開始され、継続されていたものというべきである。
しかしながら、同様の模倣行為が続いた場合、それが公正かつ自由な競争として許される範囲から逸脱する度合いは、時の経過とともに生ずる状況の変化に応じて変化することがあり得るのも当然というべきであ〔り、〕……この点につき本件において極めて重要な意味を有するのは、Yを含む多数の楽器製造業者による……模倣行為が長年にわたって継続されてきており、その結果、X製品の形態は、X創作の名器に由来することが知られつつ、Xを含むどの楽器製造業者のものとしても出所表示性を有さないものとなって、その意味で、原判決にいうエレクトリックギターの形態における一つの標準型を示すものとして需要者の間に認識されるに至っているとの事実、及び、Xが、平成5年(1993年)までの20年以上にわたってこれを放置し続けてきたという事実である。……このようにみてくると、本件でXが不法行為としてとらえ損害算定の根拠としている期間(平成5年9月3日から平成8年9月2日まで)のYによる模倣行為については、たといそれがXから対抗措置を執られた後のものであったとしても、もはや不法行為の要件としての違法性を帯びないものというべきである。
- [1] 事実の概要