作品の優劣は、アカデミー賞が決め、ハリウッドは『ROI』で監督を選ぶ。
『ROI』とは、(Return On Investment:投資利益率 :費用対効果)の意味をさす。
この監督に4倍の2億ドル預けると、どれだけのリターンが生まれるか?で監督を起用する。しかし、この構造は、サブスクリプションモデルの大盛況で変化する。
CATVのテレビシリーズが、完全にNetflix Originalsに移行し、それをAmazon Prime Originals に YouTube Originals に移行している。
ハリウッドは、もはや、原作や脚本をもとに、劇場へ足を運ばせる、スピンオフ作品専属作品製作所になりかねない。
もしくは完全に製作子会社に製作させるかだ。
劇場に足を運ぶ意味がなくなりつつある。大きな画面は、VRでも十分だからだ。迫力あるサウンドもヘッドフォンで十分可能だ。
自宅でリラックスして、時間に縛られることなく、隣の客に遠慮することなく映画が楽しめる。
製作費 | $55,000,000 |
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興行収入 |
平均6,000万(60億円)ドルの予算で2倍以上(120億円)のリターンを狙うハリウッド
ROI= 利益÷投資額×100
ハリウッドでは、6つのメジャースタジオが年間に20本の映画を製作しているが、一本の映画製作コストは広告費を除いて平均6000万ドルかかっている。そして、ある程度見込みのある脚本が現実味を帯びるまでにも1400万ドルのコストがかかると言われている。もちろん、興行収入が期待どおりになるかどうか、映画の成功は全く保証されていない。日本の映画製作費が平均3.5億円(1000万から20億円)であることに比べると、実に17倍の初期投資が必要になる。
興行成績ヒットよりも、ROI率でのヒットで監督を選ぶ傾向にあるだろう。
なんといっても、ROI率の高い、監督はスティーブン・スピルバーグ監督だ。必ず、映画会社に損をさせることなく、ソツなく仕上げる監督だ。
なにしろ、予算は守る。スケジュールは完璧。これほど、映画会社にとってありがたい監督はいない。死ぬまでというか、死なないことを前提に作品のスケジュールが組み込まれている。
こだわりがあるが、クリント・イーストウッド監督もROI率が高い。
オリジナルな作品にこだわり、昔からの映画の本質をつらぬく良い作品を高齢でありながらも精力的に製作している。
本人は、引退するつもりは一切ない。
しかし、フランシス・フォード・コッポラのような職人肌の監督は、予算も時間もめちゃくちゃ。良い監督だが、もはや自腹でないと製作に望めないという状況だ。