ユーロの欧州委員会が、アイルランドの税法に対して干渉している構図にも見える。
ユーロというひとつの超国家による経済圏と、自治があるそれぞれの国のお家事情。
広義のタックスヘイブンとしてのグローバル企業のアイルランド利用…。
ダブルアイリッシュとダッチサンドウィッチ
合法的なタックスヘイブンを、アイルランド法人とオランダ法人を挟むことによって、実現してきた。
Apple 社は、法人税率の低いアイルランドに子会社(アイルランド第一法人という、以下、「第 1 法人」)を設立し、米国本社が開発する無形資産について、コストシェアリング契約により、費用負担割合に応じた利益をアイルランド法人に移転します。また、第1法人の管理機能を、タックスヘイブン国である英国領バージン諸島におくことで、アイルランド税法上では、非居住者となり、法人税課税を受けません。無形資産のライセンス契約においても、使用料課税のないオランダ法人を経由して支払うことで、使用料に対する源泉税が免除されます。このようにアイルランドに二つの会社をもち、途中にオランダを経由させる戦略は、「ダブルアイリッシュ・ウイズ・ダッチサンドイッチ」と呼ばれています。
https://www.grantthornton.jp/pdf/newsletter/international/international_201401.pdf
❏EU=ヨーロッパ連合の欧州委員会は、アイルランドがアメリカのアップル社を法人税で優遇していたのは違法であるとして、アイルランド政府がアップル社に対し、日本円にして1兆4000億円を超える巨額の追徴課税を行うよう求めました。
❏「欧州委員会はきょう、アイルランドがアップル社を税制上優遇していたのは違法であると決定しました。アップル社は1300万ユーロ(約1兆4800億円)と利息分の追徴課税を支払わなければなりません」(欧州委員会 マーガレット・ベステイガー委員)
❏EUの行政を担う欧州委員会によりますと、アイルランドの法人税の標準は12.5%ですが、アップル社がヨーロッパで得た利益に対して、アイルランドが大企業誘致のため課していた法人税は1%未満だったということです。
❏これについてSKYニュースは、アップル社がヨーロッパ全体で100万ユーロの利益を得たと仮定して、50ユーロしか税金を払っていない計算になるとしています。
❏欧州委員会は「EU加盟国は特定の企業の優遇税制はできない」として、EU法における違法な補助金にあたることから、アイルランド政府がアップル社に対して130億ユーロ、日本円でおよそ1兆4800億円の追徴課税を行うよう求めました。
❏一方、アップル社はアイルランドの税法を無視していると反発。「委員会の決定はアップル社がいくら払うかではなく、どの政府が金を集めるのかという問題になっており、深刻で有害な影響をヨーロッパの投資と雇用にもたらす」と反発しています。
❏また、アイルランドのヌーナン財務相も今回の決定は同意できないと発表。「EU加盟国の税制にEU法が侵害することに対して、挑戦するため必要だ」として、訴訟のため閣議を開くと述べています。
❏このほか、アップル社が本社を置くアメリカの財務省は先週、「欧州委員会は“超国家の税務当局”になる危険性がある」と批判を強めています。EU加盟国では大企業への優遇税制の問題が複数持ち上がっており、去年、欧州委員会はオランダに対して、スターバックスから3000万ユーロの追徴課税を行うよう命じています。