マイナンバー、エストニアの電子政府を見ならおう

By: Jim G

北欧の小国、エストニアでの「国民IDカード」の利用率は8割を超え、携帯電話から免許証、銀行までが連動し、選挙の投票率の15%までがカード利用だという。しかし、一番の利用の高さの理由は、自分の個人情報を誰が利用したのかを明確に開示している点に注目したい。

電子政府のサイトには、自分のどんな個人情報を政府が保有しているのかを確認できるページがある。自分の年金や納税、不動産所有、運転免許などについて、いつ誰がアクセスしたのかも原則的にわかるようになっている。(中略)

「ほら、この2月のアクセスログは、警察が私の自動車登録をチェックしたことを示しています」。アクセスログはすべて保存され、不審なアクセス記録を見つけたらデータ保護庁に調査を依頼できる。「自分の情報は、自分自身でコントロールできるわけです」と、ビンベルグ。

欧州連合(EU)加盟をめざしていたエストニアは、04年の加盟の前、個人情報の自己コントロール権を原則とするEU型の個人情報保護法を制定した。個人情報の収集や利用は、正当かつ適法に実施すること。情報収集は必要最小限にとどめること。これらの原則に加えて、個人情報を本人が確認し、不正確な情報の訂正を求める権利があることも明記されている。電子政府サイトで個人情報のアクセスログを自分で点検できるのは、この法律のおかげだ。

出典:個人情報を自己管理。エストニアの電子政府戦略

日本の「個人情報保護法」は情報漏洩を防ぐ方向での罰則がメインで、情報を活用どころか反対に扱いにくいものにしてしまった。さらに余分な情報を聞き出さなければ個人が特定できないというデメリットもある。ネット時代にふさわしいのはエストニアのように、自分の個人情報を国民が主権者として、誰に利用されたのかを可視化できる権利だと思う。政治も国民もガラス通しという共にデータを閲覧できる権利が必要なのだ。来年から、個人や企業だけがマイナンバーで管理され、政治家の政治資金団体のマイナンバーが公開されないほうがおかしくてしかたがない。成功交付金も自分がどの党に配布するのかをネット上で意思表示してもよいだろう。

政党交付金は、直近の国勢調査で国民1人あたり250円で金額が毎年、決定される。2010年(平成22)国勢調査人口により算出すると約320億円。国勢調査のネットのIDを使って、どの政党に交付するのかを個人の声として、反映できれば選挙の時だけでなく、国民の意思を聞くつもりがあれば5年に一度チャンスがまわってくる。18歳以上だけでなく、世帯全員が赤ちゃんから老人まで含めて国民世帯の意思が反映される。これも、「国勢」という国民の民意が可視化できるチャンスだ。同じ総務省管轄なので、いろいろと検討してみてほしい。