19世紀の鉄道バブル 大陸横断鉄道とクレディ・モビリエとペレール兄弟 投資銀行の始まり

Hell on Wheels Crédit Mobilier

クレディ・モビリエとクレディモビリエ・オブ・アメリカ(CMA)
http://blog.livedoor.jp/kodama1872/archives/51479920.html

マルクス主義者にとってクレディ・モビリエというのはペレール兄弟によって創設されたクレディ・モビリエのことで、あれは確か1857年に破綻したはず

❏アメリカのクレディモビリエというのは正式にはクレディモビリエ・オブ・アメリカ(CMA)を表しており、ユニオン・パシフィック社という鉄道会社の子会社

❏ユニオン・パシフィック社がクレディモビリエ・オブ・アメリカ(CMA)を設立したのは建設費をピンはねするためだ。この会社はユニオン・パシフィック鉄道から鉄道の建設工事を請け負い、実際にかかった経費のほぼ倍の金額に水増しして請求して、差額を役員が山分けするという構造になっていた。

❏ユニオン・パシフィック社はクレディモビリエ・オブ・アメリカ(CMA)に1マイル当たりの建設費用が3万ドルのところ、6万ドルを支払ったとされる。ユニオン・パシフィック社が建設した鉄道は、1087マイルだったので、3261万ドルの収益があった事になる。しかし、これではユニオン・パシフィック社が赤字になってしまうので、さまざまな手法が取られる。

それは①手抜き工事で建設費を押さえる。
②議員を買収して補助金を増額させたり、土地の無料取得などの利権や有利な条件を政府から引き出す。
③多額の転換社債(社債を事前に]決められた転換価額で株式に転換することができる債権)を発行してファイナンスする、であるが、実際にユニオン・パシフィック社とクレディモビリエ・オブ・アメリカ(CMA)に巨額の儲けをもたらしたのは③の鉄道債や鉄道株である。

❏しかし、ユニオン・パシフィック社とクレディモビリエ・オブ・アメリカ(CMA)のインチキ商売は鉄道ブームに乗って巨額の富を得たが1872年にニューヨーク『サン』紙によって②の汚職事件が暴露され、やがて①も明るみに出て工事のやり直しが不可避になると頓挫した。

❏この事件の余波を受けたのがジェイ・クック商会である。ジェイ・クック銀行と呼ぶ人もいるが正確には債権の分売業者(巨額の債権や社債を購入して、購入した債券を小分けして2500あまりの代理店に販売する業者)で銀行ではない。

❏債権や社債を購入は別の面から見れば鉄道会社や政府への前貸しであり、それは債権を予定の価格以上の価格で販売することによってのみ補われるからである。

❏しかし、ユニオン・パシフィック社とクレディモビリエ・オブ・アメリカのスキャンダルの発覚と鉄道株、鉄道債への人びとの熱が冷めたとき、待っていたのは債権の額面割れであり、株価の暴落だった。

❏それでジェイ・クック商会は資金繰りに陥り破綻してしまったが、同商会はノーザン・パシフィック鉄道の大株主であり(同時に他の鉄道会社にも出資していた)、政府の戦時負債の大半を扱っていたのでその破綻の影響は甚大であり、ニューヨーク証券取引所は機能不全に陥ってしまった。こうして1873年の恐慌は信用貨幣恐慌として拡散していった。

❏一方、ペレール兄弟によって創設されたクレディ・モビリエ(1852~1857)は、そのような中で、1835年にフランスにおいて鉄道の施工がスタートしたが、当時のフランスにとって鉄道事業は初期投資が非常に大きかった。それは、個人投資家の資産を超えていた点と当時の技術ではリスクがあまりにも大きかったためである。

ペレール兄弟によって創設されたクレディ・モビリエ(1852~1857)は、政府により社債発行を禁止されていたために、株を購入し高価格で売り抜けるといった投機的短期信用を担う預金銀行であった。

このペレール兄弟のクレディ・モビリエはマルクスによって何度も取り上げられている。(マルクス・エンゲルス全集12巻)

❏商業銀行は、手形割引、貸付、銀行券発行によって、固定された資本を一時的に解放する。しかるに、クレディ・モビリエは浮動資本を実際に固定させる。たとえば、鉄道株はきわめて浮動的でありうるが、それがあらわす資本、すなわち鉄道の建設に使用された資本は固定されている (マルエン全集12巻P32)

マルクスがクレディ・モビリエは商業銀行とは正反対に浮動資本を実際に固定させるという指摘は興味深い。

 

【関連】

世界5位 ハインツとクラフトの合併(売上280億ドル2.8兆円)、バークシャー・ハザウェイ ウォーレン・バフェットと3Gホルヘ・パウロ・レマンの野望
https://4knn.tv/heinz-buys-kraft-foods/

ゴールドラッシュ時に稼いだリーランド・スタンフォード wikipediaへ追記
https://4knn.tv/leland-stanford/

クレディモビリエ事件
アメリカ南北戦争後の U.グラント大統領時代の腐敗政治と 19世紀アメリカ鉄道建設をめぐる不正を象徴する代表的汚職事件。 1872年にニューヨーク『サン』紙によって暴露された。クレディ・モビリエはユニオンパシフィック鉄道の建設会社として,連邦政府によるローンと土地下付の特権を悪用して巨額の金 (2300万ドルといわれる) を着服した。
https://kotobank.jp/word/%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BB%E3%83%A2%E3%83%93%E3%83%AA%E3%82%A8%E4%BA%8B%E4%BB%B6-57575

Marx on Goldman Sachs — I mean, Credit Mobilier
http://juliohuato.org/2014/10/19/marx-on-goldman-sachs-i-mean-credit-mobilier/


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