【書籍】「(本当の大阪人、東京人は)決して他国の食いものの悪口というのは言わない」池波正太郎『男の作法』

「(本当の大阪人、東京人は)決して他国の食いものの悪口というのは言わない」池波正太郎『男の作法』は、私たちの衣食住について書かれた本です。お寿司屋さんでの振る舞い方、トロの頼み方、結婚観、靴みがき、日記の使い方などなど、いま風にいえばライフハック本とでもいいましょうか。しかしそのようなバズワードではとらえきれない男の「粋」がこの小さな本にはあります。

この本の冒頭では「鮨屋に行ったらシャリだのアガリなどといわずに、ふつうにご飯・お茶と言え」というアドバイスがでてきます。シャリ、アガリ、オテモト、ムラサキは元々は鮨屋仲間の隠語です。それをお客さんがしったかぶりしていうなら、軽蔑の対象となると指摘しています。

これはお鮨のお話ですが、これはべつにお鮨に限った話ではなく、ほかのことについても同じです。たとえば大阪のうどんはだしが透き通っているのに対して、東京のうどんはだしが濃く辛いです。この事象をとらえて「東京のうどんなんか食えない・・・」などというのはばかの骨頂だと池波正太郎は指摘します。

本当の大阪の人は決してそういうことを言いませんよ。東京の人も、本当の東京の人だったら決して他国の食いものの悪口というのは言わない。一番いけない、下劣なことだからね。

引用元: 池波正太郎『男の作法』は若いサラリーマンに読んでほしい – オーケーマック.