2000年3月13日 (月) 【日刊・デジタルクリエイターズ】 No.0240
日本に戻ってから、すぐに東京との往復の一週間でした。
やはり、アメリカ往復500ドルの時代に神戸-大阪3万円はどう考えてもおかしな時代です。
「チキンがいいかビーフがいいか?」「何かお飲みものは?」というサービスと「浜松名物〜、コーヒーに、幕の内〜」だけのサービス。かたや、ちょっとベテランのスチュワーデスだが満面の笑み。かたや「浜松名物〜」は、若い女性ながら、遠い彼方を見つめながら、ただワゴンを押して行く無機質な生物のよう。まるで魂の抜け殻がワゴンを押しているようです。
きっと、この謎のひとつは、「競争相手」ではないでしょうか? ライバルの存在がないことは、緊張感もなく、向上心も生まれない。価格競争もない。そこで、新幹線に他社が乗り入れしてくると、サービスは一気に変化すると思います。新幹線の食堂車にマクドナルドや、スターバックス、天下一品が参入すればどうなるか? またグリーン車の車内誌にリクルートや日経BPの雑誌やフェリシモのカタログが登場すればどうなるのか? 路線にも、ひかりやのぞみ以外にユーロスターやTGVなどが参入(線路幅で無理か)してチョイスできるとなると…。
既得権益に守られたサービスは国際的にもますます孤立していきます。また、即座に体制がかえられない体質は経済に動脈硬化を生み出しています。その流れが顕著なのが、情報・通信・金融の世界です。
シリコンバレーの日本人向けの新聞を見れば、日本まで国際電話1分25セントとか29セントとかの広告がでています。また、ロサンゼルスでは、1分9セントという通信キャリアが登場したとのことです。1分9セントというとほぼ10円です。
しかも日本のどこでもアメリカからなので同一料金。携帯電話にかけても同じ料金ですから、日本国内で電話するよりもアメリカからかけた方が安いのです。なんだかヘンな話し。この流れは大きなうねりの予兆にすぎないと思うのです。
1984年のAT&T分割以来、7つのべビーベルと呼ばれる地域電話会社が、さまざまなサービスを展開した結果の産物でしょう。NTTの分割も、もっと数をたくさんにすれば、このような骨肉を争う国際的な競争社会に参入もできることでしょう。2つぐらいでは…骨肉の競争になりません。
ポケットベル人口1,000万人が450万人まで減少したという事で、発信者側から負担させるという案が動いているようですが、そんな事をしたらますます使いたくなくなります。そんな事よりも、ポケベルを一気に携帯型無線インターネット端末として、無償でばらまくとみんなが利用します。各種プロバイダーとも年間契約。もちろん電子商取引用のシステム組み込みで今後発生するインターネットサービスで売り上げを狙うというのがありでしょう。すべての人が450万人といえば、1980年代にフランスが無償配付した「ミニテル」の初回の台数と一緒です。この時は、高騰化する紙の電話帳対策が発端でした。この端末のおかげで10年前から、フランス国民は、電話番号の検索から、図書館の検索、娼婦の検索にいたるまでミニテルを使用します。さらにこのインタフェースは、各種データベースから、駅の自動切符販売機にいたるまで応用されています。
ミニテルのおかげでフランス国民であればすべての情報にアクセスできるようになりました。しかし、インターネット普及の最大の障害にもなりました。現在は、インターネットからもダウンロードし利用できますが、フランス語だけというクローズドなサービスに固執しています。
http://www.minitel.fr/
サンフランシスコのベイエリア地区では、リコシェという無線インターネットサービスが月々20ドルで4年も前から開始されており、電源さえあれば24時間どこからでも無線でインターネット接続が可能になっています。車を運転中に電子メールが入り、音声で読み上げるという事も実現されています。便利かどうかは別として…。
また、T1回線よりも早い無線ISPも登場していきています。
http://www.a1-wireless.com/
ロサンゼルスでは、無線による照合システムを利用したATMカーが登場し、どこでも大規模なイベントがあれば、銀行がやってくる時代となっています。そして、ついにシンガポールではシティバンクが携帯電話バンキングをスタートさせ、手のひらサイズの銀行が生まれました。銀行に列ぶという行為は20世紀までの想い出となることでしょう。
http://www.citibank.com/singapore/
NTTのコンテンツ課金システム「カルレ」のインターネットサービスが昨年の11月よりスタートしましたが、会員になるために資料を取り寄せ、捺印を押してまでほしいコンテンツがない限り、このサービスは陽の目をみないことでしょう。またハンコにこだわっている間はマルチメディアサービスからますます遠ざかる一方です。
http://www.calle.ne.jp
そんなことよりも、NTTのサービスに期待するところは「104」の番号案内です。日本では、電話番号の検索が一回あたり深夜では100円にもなってしまいます。さらに番号をメモして、かけなおす必要があります。アメリカでは「411」の番号案内ですが、無料で調べられた上、「1」を押すだけで、そのまま調べた相手に電話を繋いでくれるのです。さらに市内であれば固定料金制なので、カケ放題モードです。NTTのエンジェルラインのサービスも提供されていますが、パソコン通信モードというのは、そろそろオサラバしたい状況です。なぜWebでサービスしないのでしょうか?
http://info.ntt.co.jp/angel/
むしろ104データを利用したCTI(コンピュータ・テレフォニー・インテグレート)技術利用者から課金する方法で運営できるのではないでしょうか? 米国証券取引所のデータベースのような運営ができると思うのですが…。
http://www.sec.gov/edgarhp.htm
「1000ドルから本気でやるアメリカ株式投資」荒井拓也著NTT出版1900円を読みました。その中でオススメしているsuretrade.comであれば日本の証券会社と、おつきあいをまったくしなくても、自宅が株式のトレーディングルームと化し
しまいます。
http://www.suretrade.com
インターネットは、地球のサイズをものすごく小さくしてしまいました。大平洋や大西洋はネットの世界では既になくなり、規制や法的な新しい大海が国を分断している状況といえます。鎖国をしていた江戸時代ならまだしも、G7大国、ニッポンが情報・通信の分野を加速していかない限りこの大海はますます大きくなって国内をアメリカよりも遠くしていくことでしょう。だからこそガンバレ! ニッポン! なのです。