新幹線の運転手さんが、足を投げ出していたり、スマホをガン見しているなどの投稿によって、勤務態度が問題になることが多い。それらのほとんどが、SNSでの投稿が一瞬のうちに、人々の「義憤の正義力」と「やじ馬力」によって拡散される。
そして、対応を確認し、処分を行うという事例が増えてきた。
しかし、その「義憤の正義力」は果たして認められるのだろうか?
新幹線運転士、運転台に足を投げ出し運転
http://matome.naver.jp/odai/2147330958110552801
運転士が乗務中にスマホ操作 情報提供で発覚 JR東日本
http://www.sankei.com/affairs/news/160617/afr1606170036-n1.html
義憤にかられた個人にもリスクが及ぶ可能性があることを熟知しておく必要がある。
ソーシャルメディアとはいえ、個人と密接に結びついている。
それによって、職を奪われる人がいるということは、新聞記者や週刊誌記者並の恨みを買うことを覚悟しているかだ。
新聞記者は、会社が身分を守ってくれる。しかし、一介の個人にはその後ろ盾が何もない。
SNSでの一瞬の大拡散のカタルシスと同時に個人のリスクも広がる。
❏秋田大の50代の副理事兼課長の男性が勤務時間中にアタルトサイトを閲覧したとして、3月に訓告処分を受けていたことが分かった。❏閲覧しているところを学生(当時)が撮影し、ツイッターに投稿したため発覚した。学生のツイッターは2月下旬の日付になっており、窓際の席で課長がアタルト動画サイトのトップページを見ている様子を外から撮影した画像が「勤務時間内に見ているから秋田大はクソ」などの言葉とともにツイートされた。
情報源: 秋田大課長が勤務中にアタルトサイト 「秋田大はクソ」学生の画像投稿で発覚 (1/2ページ) – SankeiBiz(サンケイビズ)
❏「ショルダーハック」という方法です。それはその言葉が表すとおり、肩越しにパソコンやスマホの画面を覗くことです。電車等で映像や記事を見たり、SNSでメッセージを書いたりする人も少なくありません。
情報源: 現代版「壁に耳あり、障子に目あり」、ショルダーハックの脅威(森井昌克) – 個人 – Yahoo!ニュース
❏もちろん、この事務職員の勤務態度に大きな問題があり、それを理由に処分されるのは当然ですが、いついかなる時にでも覗き見られるだけでなく、写真や映像として記録され、それも公開されてしまうということを意識しなければなりません。公開した学生は、大学内での事務職員の許されない行為として義憤にかられ、正義感から投稿したかもしれません。しかし、この学生の行為も一概に褒められたものではありません。事務職員の了解を得ずに撮影した行為は盗撮に相当し、公開した行為はプライバシーの侵害や名誉毀損にもなり得るのです。一瞬の義憤に駆られ、正義感から、そして自分が正しいことを強く主張したいがために写真等に記録して、ツイッター等で公開することがあります。たとえば通勤通学途上の電車内で足を広げて座っていたり、座席を荷物等で占有したりしている人を写し、批判する人がいます。
❏しかし、結果的に批判されるのは、写真を公開した本人なのです。ツイッター等でのアカウント(名前)が匿名であったとしても大概の場合、特定されてしまい、いわゆる炎上という状態になります。炎上とは、ある投稿記事がきっかけとなって、その関係した人がネットで批判され、その批判だけでなく、真偽は別にして、関係者へのありとあらゆる誹謗中傷が多数投稿される現象です。今ではほとんどの人が常にカメラを持ち歩いている状態であり、さらにSNS等で簡単に投稿できる状態になっています。我に返って考える間も無く、一瞬で撮影、投稿できてしまうのです。常日頃、写真を撮影し、そしてSNS等で投稿している人は十分注意しなければなりません。一瞬の義憤が冷静さを失い、炎上に至ることになるのです。