Spotify.com のビジネス論争は約130年前のメディアの歴史から再度学ぶべきだ!

海外にいったら、ぜひ!試さなきゃと思っていた、Spotify のサービスは、

オーストラリアでも駄目だった…。

http://www.spotify.com/

なんだか、国によっての音楽産業のコンサバぶりが見事にわかる。

結局は、ユーザーに支援されるビジネスモデルでしか、エンタテインメント産業は、生き残れないのに…。

残念だ。 日本の音楽産業こそ、現状を守れば守るほど、生き残れないことを知るべきだ。

結局、e-Bayでアカウントを越境で購入したり、プロキシサーバーを中継したり、いろんな手で、ユーザーは、禁止されている行動をとってでも、結果としてSpotify を利用している

古い話で恐縮だが、この約130年前の話に似ている。

1887年、電話の発明者グラハムベルの元で働いていたエミール・ベルリナー「グラモフォン(1887年)」という、「レコード盤」を発明した時、エジソンが10年前に、発明した蓄音機「フォノグラフ(1877年)」は、徹底的にレコードプレーヤー型「グラモフォン」に対し、徹底抗戦を強いられることとなる。

エジソンの「フォノグラフ」は、錫箔(のちに蝋管)でできており、現在のサランラップみたいな形をしていた。

歴史的に考ええみると、エジソンも音を録音する装置として「オルゴール」によるアナロジーおよびメタファーに縛られていたと考えられる。

一方、ベルリナーの、発明した円形レコード盤は、スタンプさえすれば量産性に優れ、サイズも限りなく薄くそして、コンパクトになった。

これは、まさしく偉大なるイノベーションといえるだろう。

 

しかも、画期的なことに、「A面B面という、裏面さえも使えるという改良がなされ、記録容量および再生容量を増やした。

さらに、サイズを大きくした、「LP盤」の登場によって、最終的にエジソンの発明はついに駆逐される結果となる。

さらに「バイナル(ビニール)盤(塩化ビニール)」という素材のレコード盤の開発によって安価に大量に流通させた。

また、パーラーシステム(業務用)としての「ジュークボックス用のEP盤(ドーナツ盤)」も登場し、ラジオ用のA面マーケティングが展開され、20世紀中期のレコードプレーヤー産業や、20世紀後半の「ステレオ」システム・コンポーネントという進化を遂げていく。

 

21世紀の現在のテレビの3D規格は、「4chステレオシステム」の悪夢を見事に思い出させてくれている。誰も3Dを家で(100インチ以下のモニターで)見たいとは思わない(映画館ではありだが)。

蓄音器の発明が、音楽産業の最初とよく言われるが、エジソンの発明したのは、「遺言レコーダー」や証拠としての「音声記録機」がメインの使い方であり、再生をメインにしたものではなかった。

いわばレコード(記録)を目的としていた。同時にエジソンは、「キネトスコープ(のぞきからくり)1889年」を再生専用にしてしいまい、録画機能を省いてしまった。

エジソンがキネトスコープを、パーラー形式(ゲームセンターのようなもの)のビジネスモデルにした理由は、「一度に複数の観客に見せると価値が下がり、新しい内容を次々に開発しなければならない」と考えていたからだ。

 

後に、録画機能を搭載したフランスのルミエール兄弟「シネマトグラフ1895年」によって、「映画産業」を勃興させた。

映画館という興業ビジネスと映画の配給システム、さらには、撮影エンジニアを各国に派遣し、シネマトグラフによる映画製作を指導を手がけ、同時に機器をセールスしたことが「映画」という産業を成立させた。

ルミエール兄弟に対抗したエジソンは「バイタスコープ(1896年)」を開発し、それと同時に撮影、フイルム、映写機や周辺機器の特許を独占し、映画制作ビジネスに特許料を取るカルテル団体 「MPPC(Motion Picture Patents Company)1907年~1917年」を組織した。フィルム1フィートにつき0.5セントの賦課金が発生するのだ。

それを逃れるために、西海岸のメキシコの国境に近い「ハリウッド」という田舎の山で、違法で映画を作る集団を生むきっかけとなった。

ヨーロッパから仕入れた撮影機器によって、MPPCに課金されることなく映画を作る団体である。量産するために、ハリウッドの広大な周辺に脚本家から監督、俳優をまとめて管理し、映画製作を行った。それが、ユダヤ移民たちが作った「安価で複数の人に大量の作品を観せる」というハリウッドメジャーの創始者たちの姿だった。

後にMPPCは、反トラスト法(独占禁止法)違反1917年に解体される。

映画フィルムに10年間だけ課金したことによって、現在のハリウッドメジャーにすべての市場を奪われてしまったわけだ。

 

話をベルリナーに戻そう…。

ベルリナーが再発明した円形ディスクは、現在の130年を経ても、ブルーレイディスクに引き継がれている。しかし、ネットストリーミングのサービスの前で、いずれ必要とされなくなるのは、誰もが認識できることだろう。

一部のネットワークが未発達なところ(たとえば宇宙)で、円形ディスクは 利用されるのだろう。もしくは、アマゾンの奥地や、アフリカやオーストラリア、中国、ロシアの内陸部。

Spotify.com のビジネス論争で面白い点は、きっと歴史が証明してくれるだろう。

 

ベルリナーが発明したレコード盤には、当時のアーティストやプロの音楽家、楽譜出版社からは、非常に不評だった。

「音楽は、レコード盤によって死んだ(音楽は”ライブ”でしか存在しなかったから)」

「1回演奏したものを、何度も聞くなんてバカげている」

「そこにいないで、演奏したり、歌っているものなんて聞きたくない」

「そんなビニール盤から出てくる音が、音楽といえるのか?」

さまざまな、論争が、レコード盤に対して巻き起こった。

しかし、本当の音楽のファンが選択した答えは、音楽に対する、

コストパフォーマンス(価格弾力性)と、ベネフィット(便益性)

であった。

イメージしてみてほしい。レコードがなかった時代に音楽ビジネスはどのように、成立していたのか?

中世の音楽家たちは貴族のエンタテインメントのための宮廷音楽家であった。さらにルネッサンス期に至っては、優秀なアーティストを抱え、パトロネージュすることで、より貴族や豪商のブランド価値を高めた。

そして、

アメリカ音楽の父である音楽家ジョージ・ガーシュインでさえも、レコードが登場するまでは、毎日デパートに出勤しては、ピアノで「ラプソディ・イン・ブルー」を弾いて生計を立てていた。

そう、デパートで、楽譜やピアノを販売していたのだ。

ガーシュインでさえ、楽譜出版社からの給与で生活していた。

レコード盤が音楽家たちの生活を、ブルーカラーから印税生活へと変えた。

1930年代以降は、マイクやレコードの進化によって、大きな声で歌う必要がなくなり、 ビング・クロスビーなどのソフトな歌唱法が米国のポピュラー音楽へと進化していく。

1960年代のビートルズでさえ、「ボクたちはビニールたちに一生分、食べさせてもらっている」と語っている。

現在の、ストリーミングサービスを毛嫌いする音楽業界はなんだか、レコードを否定してきた業界人やMPPCに見えてきて仕方がない。

音楽は聴いてもらえるうちが華であり、新しい音楽との「出合いの場」を自ら断ち切ろうとしている業界人の人たちにぜひ、Spotify.com後の未来を音楽産業130年を振り返り、一考願いたい。

 

参考資料

http://www.edisonworl10.com/person/master.html#top

http://oyamahatumei.michikusa.jp/inventoredison.html

http://www.eigasi.com/movie_beginning.html





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