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イノベーションなき20年の元凶はマークシート入試改革から 鈴木寛まとめ

マークシートの発明によって、効率化がはかれる。
コンピュータに通せば瞬時に合否がわかるようになった。

しかし、その効率化の中で、設問に対する答えが、必ず仕込まれていることだ。
民間企業で、マークシートで入試できるところはほぼ皆無だと思うので、人生の最終的な選択肢はどこかにチェックシートがあるわけではない。

設問を疑ってかかることもなければ、質問することさえできない。時間と共に大量に処理をしていくマシーンをたくさん文部省および、文科省は造ってきた。

自分で考える事の重要性は大学に入ってからではなく、小学生の頃からでも、ネットで自習できるようにもなった。

なぜ数ある教育制度改革のなかで「大学入試」を私がターゲットに定めているのか。入試対策を基準にして高校や予備校がカリキュラムを作り、受験生は勉強をするという現実的な構造があるからです。

たとえば現行の英語教育が典型です。学習指導要領が変わってきたにもかかわらず、「小難しい文法問題はできるのに外国人への道案内が流暢にできない」という課題が何十年と持ちこされてきました。

センター入試にこそヒヤリングは入りましたが、スピーキング能力が抜本的に変わらないのは、多くの受験生が受ける私立大学文系の入試が変わらないからです。

引用元: イノベーションなき20年の元凶はマークシート 入試改革から“日本を取り戻す”|鈴木寛「混沌社会を生き抜くためのインテリジェンス」|ダイヤモンド・オンライン.

 

❏ 英語教育もさることながら、今の入試の問題は、論文、論述問題の軽視です。東大、京大などの二次試験は論述、記述が中心で、なかなか歯ごたえのある良問ぞろいですが、多くの私立大学やセンター入試は論文、記述問題はなく、マークシート型が中心です。

❏早稲田や明治といった有名私大は、毎年10万人規模の受験者数を維持しているからこそ、経営が成り立っています。 1人の受験料が3万5000円として10万人受ければ35億円。もし入試問題の傾向が突然大幅に変わったりして不人気となり、仮に受験者の半数が敬遠するようなことがあれば、十数億円がふっ飛んでしまいます。現に、慶応義塾は小論文を課し、受験生の知識運用力を試すユニークな入試形式を取っているために受験生に敬遠されています。志願者数ランキングではベスト10に入りません。

❏ 戦後の高度成長期は大量生産力こそが国力でした。マニュアルを覚えて、それを正確に高速に再現する能力が強く求められました。マニュアル人間の養成こそがむしろ国是で、その時代には知識詰め込み型教育が求められました。教育における正解主義が徹底され、世界一の工業国となりました。今の中国がそうです。今後は南アジア、アフリカがそうなるでしょう。

 ❏デジタル革命後は、お手本と同じものを正確にたくさん作る仕事はデジタル技術や新興国に任せ、先進国での人間の仕事は、イノベーションとヒューマンサービスにシフトします。これまで存在しなかった新たな解決策=選択肢を作り出すこと、つまりイノベーション。そして、サービスを提供する相手ごとの時々刻々かわる状況に応じて、個別対応を臨機応変にしていかねばならないヒューマンサービス。これらが人間の主たる仕事になっています。こうした時代の変化を踏まえて、人間の能力も変化が迫られているのです。脱マニュアル人間です。

❏若い人を取り巻く情報環境は、この十数年であまりにも様変わりしました。知識だけは“ググれ”ば(グーグルで検索すれば)容易に得ることはできます。 情報や知識を簡単に手に入れられる時代になったからこそ、運用能力を鍛える必要があるのです。

❏実社会で成果を生み出している人は、学力だけでなく、発想力や企画力、そしてあきらめない力を持っているものです。最近のノーベル賞受賞者が、かつての定番であった東大や京大といったブランドのある大学以外からも次々に輩出されている

❏変化に富む時代。折々の知識は5年も経てば陳腐化します。
 だからこそ臨機応変に対応する力、非定型の課題を乗り切る力を養わねばなりません。これからの人づくりは、パッシブラーナー(受動的学習者)からアクティブラーナー(能動的学習者)をどう育てていくかが、もっとも重要なのです。

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