過渡期としての「Web2.0」

http://rblog-media.japan.cnet.com/knn/2006/10/web20_c1e4.html
CNET読者ブログ「KNNエンパワーメントレポート」に掲載

「Web2.0」に関する議論がいろいろと活性化してきている。
CNETによると、クリエイティブコモンズの提唱者である、ローレンス・レッシグ教授が、「Web2.0の倫理」というテーマで違和感を「YouTube.com」に対して示しているようだ。
http://japan.cnet.com/column/somethingnew/story/0,2000067121,20288227,00.htm?tag=nl
「Web 2.0の倫理:YouTube対Flickr,Revver,Eyespot,blip.tv,そしてGoogle」
http://blog.japan.cnet.com/lessig/archives/003290.html

そして、さらにそれを受け、親愛なるジョーイ(伊藤穣一氏)は、http://joi.ito.com/archives/2006/10/22/is_youtube_web_20.html
でコメントを残す(英文)。

そこで、末席にいるボクの考えは、YouTubeが2.0的であるか否かという議論は、心もとないが、あまり議論に値しないような気がしている。

レッシング教授が、http://stinkbot.com/Tubesock/ を活用しているのと同様に、
iTube 
for windows
http://www.benjaminstrahs.com/itube.php
PodTube
for mac
http://djodjodesign.free.fr/rightEN.html
なる、ハッキングツールがすでにYouTubeが実装しないから出回っている。

何の意識をすることもなく、ビデオ機能搭載のiPodにYouTubeをダウンロードして、flvフォーマットをMpeg4で自由に再生し視聴している。

YouTubeが好むと好まざるに関わらず、2.0的ないたずらっ子たちは、「勝手に2.0化」を推進していく。

「Web2.0」はどちらかというと、定義された基準を満たして、「2.0」として認めるものでもなく、現在のWebの潮流を、なんとなく、今までとちがったビジネスモデルやWeb文化で形成されている次世代のWebを象徴したものと個人的に理解している。それがWeb2.0というひとつの「ゆるやかな基準」ではないかと思う。

なので、誰かが、クローズドにしたつもりでも、いつしかWeb2.0の大命題である「共有」という新たな文化の飲み込まれていくムーブメントをもしかすると、さけられないのかもしれない。

確かに個人がデータを自由にコントロールし、共有し、リミックスできる文化は、クリエイティブコモンズやオープンソース型の考え方であろう。
ただ、広義の意味での「Web2.0」においては、そこだけを満たしていないだけで、「本物の共有サイト」と「偽物の共有サイト」と断定するのは、少し、ゆきすぎでないかと考えている。

mixiに関してもAPIは公然と公開されていないまでも技術的には、ハックが可能であり、mixiのデザインフォーマットそのもののSNSのオープンソースエンジンである「OpenPNE」などで多数のmixi型インタフェースのSNSはすでに普及している。
特に、X-shibuya http://sns.xshibuya.jp/
は渋谷近郊のクリエイターなどを中心にmixiと併用しながらも5000名もの別の母集団を構成している。

むしろ、Web2.0的な展開は、「好むと好まざるに関わらず、データや設計思想は共有されゆくもの」と考えられないだろうか?

YouTubeもmixiも、データやフォーマットを外部に盗まれたといって、騒ぎ立てたりはしていない(現在のところ)。

むしろ、警戒することはもっと外部にあるのではないだろうか?
Web1.0のあと、バブル1.0が発生し、現在、Web2.0のあとにバブル2.0はすでに発生しているといえる。ハイエナ系のビジネスマンがまた、IT産業に舞い戻ってきているのが現状だ。

ジョーイやレッシング教授が集った、
THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2006
http://www.garage.co.jp/ncc2006/
は、新たなWeb2.0 の世界を垣間見させてくれた。

本物のWeb2.0的な企業かどうか?という議論よりも、むしろ、この「バブル2.0」を食い物にしようとしているヤカラをしっかりと監視するほうのほうが重要かとボクは考えている。

個人的な意見であるが、Web2.0は単なるWebの過渡期の現象をあらわしたキーワードにすぎないのだから。

2004年にカンファレンスのテーマとして提唱された「Web2.0 Conference」から約800日。今年は来月の11月7日からサンフランシスコで開催される。
http://www.web2con.com/
何が本当で、何が偽者なのかの議論が今から楽しみである。

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