ボージョレー・ヌーボーは、すでにフリーミアムへ突入している
11月の第3木曜日は、ボージョレー・ヌーボーの解禁日だ。
そう、本日、11月19日木曜日だ。
かつては、到着早々のワインを羽田空港で飲むイベントを売ってきた業界側にいたのだが、このところ3000円以上も出してこのワインを飲む気はなく、数年来、まったく口にしていなかった。
ボージョレー・ヌーボーの輸出量の半数が日本向けというが、2004年をピークにして現在は半減していた。
しかし、今年は様相がかなり変わってきている。
西友では、なんと780円で販売するそうだ。イオンは980円、ドンキホーテは880円。
従来であれば、考えられない価格設定だ。
■ファン待望の解禁!780円ボジョレまで登場
http://www.sponichi.co.jp/society/flash/KFullFlash20091118182.html
今年の輸入量は45万ケース前後(1ケースは750ミリリットル入りで12本分)と前年比で約2割減となる見込みで、5年連続で市場は縮小する。
流通大手では西友が18日、890円で販売する予定だった750ミリリットル入りペットボトルのボジョレの価格を780円に下げると発表。イオンも同量のペットボトルで980円と低価格を売り物にしている。
また、ハーフボトルペットの三本セット販売というのも今回から取り入れられるという。
ハーフボトルのペットワインが普及すれば、ビールとの競合になりうる可能性があるだろう(販売店のフェース獲得次第だろう)。継続的に買う機会があり、低価格であれば必ず売れると思う。
基本的に、どれだけ安くても、ボージョレー・ヌーボーとある限り、フランスのボージョレーという地区のガメイ種の新酒であることに違いはない。ブルゴーニュ地方の今年(2009年)の出来を確認するには、780円でも問題がないと思う。むしろ、この価格ならば、料理ワインとしても使える。
問題は、この「780円」という価格設定だ。
一説にはドンキホーテの「880円」という価格破壊者が存在しているのが一因のようだ。
しかし、ドンキホーテ価格からさらに100円値引きするにはそれなりの理由がありそうだ。
■ドンキの影響か!?西友がボジョレーを890円から780円に急きょ値下げ
http://news.nifty.com/cs/economy/economyalldetail/tw-20091118-10606/1.htm
この超低価格の理由は、容器のペットボトル化による輸入費によるものが大きい。当然、持ち帰りも瓶の重さが不要になる。さらに、ワインはコルクではなく当然のことながら、スクリューキャップだ。
■スクリューキャップのワインは安物?
http://allabout.co.jp/gourmet/wine/closeup/CU20060501D/
にあるように、コルクである必要はボクもないと思う。
誕生日や結婚式やディナーでスクリューキャップでは気がひけるが、それ以外はスクリューキャップでおいしいワインが1000円以下で飲めるのがベストだ。 牛乳も瓶で紙キャップ。ビールも瓶で王冠だった。今は紙でアルミ缶だ。ワインがPETでスクリューでもまったく問題ではない。「カーボンオフセット・ワイン」という名称をもっと普及させるべきだろう。
問題は、このボージョレー・ヌーボーという原価が決して安くならない製品がここまで低価格で販売できるということだ。
円高、ペットボトル、などと安さの理由が、解説されるが、特に西友の場合は、780円という価格を打ち出すことによる来店効果を見込んでの広告料金が含まれている…いや、広告宣伝パブリシティ料金により、値引きされているのだ。どう計算しても780円では、売れば売るほど赤になるからだ。
780円のボージョレー・ヌーボーを買いに、いままで西友に来なかった人が、わざわざ西友に足をはこばせる宣伝効果を見込んだ価格だ。つまり、780円のほとんどが、輸入コストや関税、酒税、であり、ボージョレー・ヌーボーの中身はフリー(無料:フリー)なのだ。
今日、これから西友とイオンに買いにいってみたいと思う。そこで売り場がどのようになっているのかが重要だ。
今までの売り場に変化がなければこれは、意味がないからだ。
単にワインコーナーに780円でディスプレイ売りされていては、フリーミアムにはならない。単なる特売イベント商品である。
ワインコーナーは当然ながら、食肉コーナーでのイベント陳列、調味料コーナー、できれば、本屋の料理コーナー。スーパーの入り口。店内のいろんな場所での露出と販売機会をつくるべきだ。
フリーミアム商品は、他の商品購入でそのフリー部分を負担させる必要がある。
この景気なので、家庭でできる、ボージョーレーと合う、うちめしフレンチのレシピと食材がセットして販売してあると、気の利いたスーパーなのだが…。
しかし、現場の酒類担当者がそこまで、食品担当者とコラボできるとは思えない。
つまり、本社の企画担当者が、この機会を活かせるかどうかに、このフリーミアムキャンペーンはかかっている。
11月のボージョーレーの話題性を、どれだけ現場の販売コーナーに活かせるのか?
単なる特売イベントで終わるのか、APRUとなる顧客をスーパーに連れてくるのか?
これは低迷するスーパーの本社機能の頭の柔軟さが試されていると思う。