アブラハムと天使ガブリエル ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の登場人物で見る成り立ち

ユダヤ教・旧約聖書

ユダヤ教約1400万人(0.2%)、

キリスト教・新約聖書

キリスト教約20億人(33.0%)、

イスラム教・コーラン
イスラム教(イスラーム)約11億9000万人(19.6%)、

実は、信じられないほど密接しているというハナシ。

ちなみに、
ヒンドゥー教 約8億1000万人(13.4%)、
仏教 約3億6000万人(5.9%)、
無宗教 約7億7000万人(12.7%)

一番最初に覚えておきたい登場人物が、旧約聖書に登場する
アブラハム(イスラム教ではエイブラヒーム)だ。

※神に試されたアブラハムは息子のイサクを殺そうとするが、神に認められ、ヤギを犠牲にすることでイサクは一命を助けられる

ユダヤとアラブの先祖は、アブラハム

紀元前1900年、ノア(ノアの方舟 イスラム教ではヌーフ)の子孫たちが世界の各地に散らばり、数百年メソポタミア地方の都市国家ウルに住んでいた、ノアの長男セムの子孫テラが、息子アブラハムと一緒に約束の地カナン(パレスチナ)の地へ旅に出た

旧約聖書(ユダヤ教) 創世記

アブラハムは、父テラの死後、「ヤハウェ(エホバ)神(יהוה)」から啓示を受け、それに従って、妻サラ、甥ロト、およびハランで加えた人々とともに約束の地カナン(パレスチナ)へ旅立った。アブラハム75歳の時だった。

妻サラとの間に子供がさずからなかったアブラハムは、サラのエジプト人奴隷のハガルとの間に、イシュマエル(イスマイール)を生んだ。

その後、妻サラは90歳になってから、妊娠。
イサク(”彼は笑う”の意味)を産む。

サラの腹から生まれたイサクをイシュマエルがからかっている光景をサラが目にしたことから、サラはアブラハムに母子を追い出すよう迫る。アブラハムは神の「心配せず妻の言う通りにせよ」とのお告げを受けてこの母子を追い出す。母子は放浪のあげく、泉を見つけて安堵する。

直系のイサクは、ヘブライ人(ユダヤ人・ユダヤ教)の始祖となり。そして、イシュマエルはアラブ人(イスラム教)の始祖となった。

この時点で、ユダヤ人もアラブ人も、一番の父は、アブラハム。同じ先祖なのだ。

その後、イサクは、リベカと結婚し、エサウヤコブという双子を儲ける。

レンブラント作 「ユダヤの花嫁(イサクとリベカ)」

次男のヤコブは神の啓示で「イスラエル(イシャラー:勝つ者 エル:神)」と改名し、レアラケルビルハジルパという4人の妻との間に娘と12人の息子12人の子孫を残した。それが、イスラエル12支族の誕生だ。

一番末っ子がヨセフである。ヨセフはエジプトで大成する。

十戒」のモーセ(クルアーンでは、預言者ムーサー)はヤコブの三男レビのレビ族の生まれ

イスラム教徒の聖典である「クルアーン(コーラン)」では、ヤコブは「ヤアクーブ」、ヨセフは「ユースフ(第12章)」として登場する。

 

大天使ガブリエル

旧約聖書の「ダニエル書」に登場するのが、大天使ガブリエルだ。
預言者ダニエルの幻の中に現れ、ガブリエルは「終わりの日」に関するその幻の意味についてダニエルに説明する。キュロス王の出現と、ユダヤ人の解放、エルサレム神殿の再建について語る。

ユダヤの処世術書「タルムード」には、大天使ガブリエルは、「ヨセフ(アブラハム→イサク→ヤコブの12人の息子の末っ子)」に道を示し、「モーゼ」の遺体を運んだとされる。

キリスト教の新約聖書では「神のメッセンジャー」として登場し、『ルカによる福音書』では祭司ザカリアのもとにあらわれて洗礼者ヨハネの誕生をつげ、マリアのもとに現れてイエス・キリストの誕生を告げる。『ヨハネの黙示録』にあらわれては、ヨハネに神のことばを告げる

ダヴィンチ作 「受胎告知(大天使ガブリエルと聖母マリア)」

キリスト教のカソリック派では、ガブリエルは通信事業の守護者であり、その聖名祝日はラファエル・ミカエルと共に9月29日である。

イスラム教で、最も活躍するのが、この大天使ガブリエルだ。アラビア語では「ジブリール(جِبرِيل Jibrīl)」と呼ばれる。

25歳の時、15歳年上の未亡人ハディージャと結婚していたメッカ生まれのムハンマドは、40歳を越えても悩んでいた。
西暦610年。洞窟で瞑想中に、突然、ジブリールが現れては、クルアーンの啓示を始めた。それが、クルアーンことイスラム教の聖典(コーラン)の始まりであった。23年もの間、ジブリールはムハンマドの元を度々訪れてはクルアーンの各章を啓示していった(クルアーン96章など)

これが、イスラムの人たちが一日5回礼拝するコーランのはじまりだ。

ムハンマドに啓示をする大天使ジブリール

そして、エルサレムにも、ジブリールがムハンマドを突然エルサレムの夜の空へ旅に連れて行った(クルアーン17章)。

ムハンマドをエルサレムへ連れていったことが、そもそものエルサレムの問題の原因である。その聖なる岩の上でムハンマドは、神や宇宙をジブリールに案内された。そして、その場所が岩のドームとなった。

イスラムの岩のドームと、ユダヤ人の嘆きの壁と50メートルほどしか離れていないから迷惑なことになった。

エイブラハムや、大天使ガブリエルは、今の宗教でこれだけ大変なことになるなんて想像してなかったんだと思う。

エイブラハムは人間だからしかたがないけれども、ガブリエルは大天使なんだから仲違いのタネは消してほしいものだ。

…ということで、現代の誰かを預言者として、指名し、「あなたたち仲良くしなさい」と各宗教のトップクラスの指導者に働きかけてみてはいかがなものだろうか?

こちらのTEDもとても参考になる
レズリー・ヘイズルトン: 疑いは、信仰の本質

http://digitalcast.jp/v/17264/