連日、ニュースで豊洲市場の「盛り土問題」を報じない日はない。
ワイドショーで東京都の会見をライブ放送する異例の対応だ。
小池都知事の見事な広報戦略によって、舛添報道並に、謎の地下空間の犯人探しにやっきになっている。
誰が盛り土をやめさせて地下空間にしてしまったのか?地下空間には汚染水が…。
小池都知事が、そこまでして、都の改革に及ぶのには理由がある。
東京都の「官・民・政」の癒着に切り込むためには多少のミスリードがあったとしても、これくらいの荒療治で、役人仕事を浮き彫りにしたほうが良いのだ。
なぜ、そもそも豊洲に移転することになったのか? 移転した後、築地の跡地は誰にいくらでどう利用されることになるのか?
都政に、「都民ファースト」というコンセプトを導入し、暗黙知の中で粛々と何の疑問もなく進められるしくみに、個々が立ち止まって考える「自浄作用」を及ぼすことができるのかも知れない。
もし、あの「地下空間」がどこのマンションにもある「地下ピット」として、発表されていたらここまでの大騒ぎになっていただろうか?
あえて「地下ピット」という言葉を使わなかった発表をした小池都知事の広報戦略の勝利だ。
巧みな情報操作術はありだと思う。
普通のマンションの「地下ピット」の説明
http://www.s-mankan.com//news/20130726.html
豊洲盛り土問題の真相〜マスコミには高校化学の知識もないのか…
ヒステリックな偏向報道を疑う❏小池都知事の発言は、ローキー(控えめ)で、情報公開し、意思決定プロセスを解明するとしかいっていない。選挙中、豊洲問題は一度立ち止まって考えるとして、8月31日に11月に予定されていた移転を延期するといい、これは公約どおりだ。いつまでの延期なのか、中止になるかは一切語っていない。
❏小池都知事は今後、誰が決めたかのをすっきりさせなければいけない。ただし、地下ピットそのものが悪手ではないので、連絡の手続き面での問題にとどまるべきだろう。
❏むしろ問題は風評被害である。
❏マスコミは、連日、豊洲問題を扱っている。上に述べたようにその報道はかなり偏向している。そのためなのか、豊洲の評判はがた落ちで、豊洲の高級タワー・マンションで風評被害の危機に直面している。中国人の爆買いの反動もあるのだが、オリンピックと豊洲市場で売り出した物件は風評被害を受けているかもしれない。
❏せっかく地下ピットは十分な空間があるので、たまり水や地下空間で汚染物質について、モニタリングをして都民に公開すればいいではないか。原発事故後に各地で行われている放射線量測定モニタリングは、住民不安の解消に役立った。その上で、安全確認ができたら、早く移転を決定すべきである。
❏マスコミも、これだけ反原発もののような突っ込んだ報道ばかりであるが、これからのたまり水や地下空間の調査で何も出てこないと、急速に都政に関心を失う可能性がある。
❏そのとき、小池都政は正念場である。都議会が一気に小池都政に手向かってくるかもしれない。それに備えて、小池都政は、例えば東京を金融都市にするというようなまともな長期ビジョンを用意し、小池新党などで政治勢力を確保する必要がある。
❏もちろん、豊洲問題と平行して、手続き面での都幹部官僚の処分、それにより重要な問題であるが、築地市場での談合疑惑の解明も進めるべきだろう。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49754
❏想像してほしい。もし(2016年9月10日)10日の緊急記者会見で、小池知事がマスコミの前でこのような説明をしたらどういう報道になっただろうか。 「通常、建物の下には地下ピットという配管のメンテナンスを行うスペースがあります。当然、青果棟、水産棟などにもございまして、周囲の4.5メートルの盛り土の分、地下ピットとなっていたことが明らかになりました」
❏ 当然、「おいおい、汚染物質は大丈夫なのか」という不安はよぎるが、この前提なら、マスコミは「地下ピット」とは何かという説明から、その役割、そして多くの「地下ピット」では雨水や結露で水たまりができやすいという論調へと流れていく。
❏少なくとも、今のような「謎の地下空洞、その目的や如何に!」みたいな、川口浩探検隊シリーズみたいなノリになっていないことだけは間違いない。 つまり、小池知事はリスクマネジメント的には「定石」ともいうべき対応をあえてせず、マスコミがどよめき立ち、連日のように追いかけるような「ネタ」を提供したのだ。
❏いや、待て待て。知事が意図的に事態をややこしくするようなことを言うわけがないだろ。東京都の失態は、トップの責任だ。不祥事をでかくしたら、自分の首を絞めるだけではないか。 そんな反論が聞こえてきそうだが、実はこの不祥事を大きくすることで、小池知事には何者にも代えがたいメリットを得ることができる。それは、「なんだかよくわからないが、豊洲新市場にはとんでもないことが起きている」という世論の形成だ。
❏小池知事が「築地移転延期」の方針を固めた時、多くの人は「悪手」だと批判した。維持費は1日700万。業者のみなさんも11月の引っ越しに向けて、着々と準備をしている。「改革」にしては都民の流す血が多すぎる。事実、橋下前大阪市長のような自治体運営の達人みたいな人ですら、「こりゃ、まずいな。改革知事をアピールするためだろうが、政治戦略・戦術としては失敗するだろう」(8月30日)という感想をもらした。
❏この劣勢をガラッとひっくり返したのが、あの「緊急記者会見」だ。 小池知事は、「地下ピット」をあえて「空間」という不可解な表現を用いて説明することで、マスコミに対して、「豊洲新市場で我々の想像を超えた異変が起きている」という印象を与えようとしたのではないか。 そんな馬鹿なと思うかもしれないが、前述したように小池知事の発言に反応したマスコミ報道によって、「不正を徹底追及せよ」という世論ができあがっているのは、紛れもない事実だ。
情報源: 小池知事が豊洲騒動で見せた巧みな情報操作術とは?|情報戦の裏側|ダイヤモンド・オンライン
❏小池知事が、手練のテクニックを用いてまで、「豊洲新市場」を主戦場にしたのは、ここを探っていくと、歴代の知事たちが見て見ぬふりすることしかできなかった、「官・民・政」の結びつきを切り崩すことができるからだ。
❏『「豊洲」という地名も、工事を担当した東京市港湾局が賞金百円で職員から募集して選んだといわれる』(朝日新聞1999年9月13日)という戦前からの因縁や、東京都のごみ処分埋め立てが、清掃局ではなく港湾局が主体として仕切っていることからもわかるように、このあたりの事業は長く「港湾局のシマ」だった。 今回の騒動の「そもそも」を言い出すと、東京ガスの跡地に市場を建てるというところからきた。
❏これは石原前都知事の片腕である、浜渦武生氏が交渉にあたり、2001年2月に東京ガスと話をまとめたというのは有名だが、その交渉の前に、臨海副都心開発の旗振り役をしていた今沢時雄港湾局長が、2000年から東京ガスに顧問として天下りし、その後、取締役の席に座っていることは、あまり知られていない。 こういう構造を長らく放置してきたのは、「ドン」をはじめとする自民党都議である。 築地移転は来年5月まで延期する見込みらしい。
❏(2016年)6月には都議選がある。この問題がこじれればこじれるほど、都民の血税は失われる。しかし、その一方で、「ドン」たちを追い詰める「ネガキャン」としては、これ以上のものはない。 東京湾まわりの「腐臭」が「話し合い」でどうにかなるものではない、というのは、小池知事ならばよくわかっているはずだ。
❏かつて、「防衛庁の天皇」と呼ばれた守屋武昌前事務次官と刺し違えた時の戦いぶりを見ても、小池知事が本気で「ドン」の首をとりにきているのは間違いない。 巧みな情報操作術で、世論を味方につけたところまでは小池知事の圧勝だ。しかし、橋下元市長が指摘するように、「不正」をつかまなければ、「血税を使った権力闘争」という批判も受けなくてはいけない。 「女ケンカ師」小池知事の次の一手に注目したい。